「帳簿の世界史」ジェイコブ・ソール

「権力とは財布を握っていることである」
アダム・スミス、カール・マルクス、マックス・ウェーバー……。彼らが口を揃えて主張していた「帳簿」の力とは、一体何なのか。これまでの歴史家たちが見逃してきた「帳簿の世界史」を、会計と歴史のプロフェッショナルが初めて紐解く。

・なぜスペイン帝国は栄え、没落したのか。
・なぜフランス革命は起きたのか。
・なぜアメリカ独立は成功したのか。
・なぜ日本は急速に列強へ追いつくことができたのか。

本書によれば、
中世イタリアに始まった複式簿記、それがオランダにわたり繁栄の基礎となり、一定期間を区切って損益を計算する期間損益計算の考えが生まれる。
さらに、フランスでは、財政に会計を取り入れ、ネッケルというルイ14世の財務大臣が国家財政を記録した会計報告を世間に公表し、これがあのフランス革命につながっていく。
また、アメリカでは鉄道が急発展し、これとともに粉飾決算も横行その反省として、公認会計士制度が生まれる。

本書では、意外な人物と会計との関わりも紹介される。
ダーウィンは会計の知識を持ち複式簿記の発想が「種の起源」の記述にも見られるという。
また、科学的管理法を編み出したテイラーも生産管理戦略を会計の観点から考えたものであるとする。

700年近くに及ぶ会計の歴史を振り返ることで見えてくるのは、会計が単に商取 引の一部ではなく文化の中に組み込まれていた時、社会は必ず繁栄するという事実である。ルネサンス期のイタリア都市ジェノヴァやフィレンツェ。黄金時代の オランダ。18世紀から19世紀にかけてのイギリスとアメリカ。本書では随所に各時代の絵画が挿しこまれており、会計士の描かれ方からもその時代の有り様 を伺い知ることできる。

By | 2017-01-21T10:37:28+00:00 7月 14th, 2015|財務会計, 賃貸経営|