第2回 「98%って本当!?管理会社で異なる入居稼働率の算出基準のカラクリとは」

第2回 「98%って本当!?管理会社で異なる入居稼働率の算出基準のカラクリとは」 2013-02-19T13:59:41+00:00

[ribbon]賃貸マーケットの環境条件悪化は長期トレンド[/ribbon]

空室率は長期トレンドで上昇。管理会社選びの目安の第一は「入居稼働率」

一部の人気物件を除いて、日本の賃貸住宅は目を疑うような空室率です。
これは新築物件の話になりますが、現在日本全体で20%程度の空室率は、野村総合研究所のレポートによれば2040年には40%近くまで上昇すると試算されています(野村総研2009「人口減少時代の住宅・土地利用・社会資本管理の問題とその解決に向けて」)。
近い将来、日本全体で半分近い家が空室になるというのだから相当に恐ろしい状況です。
数十年後の将来だけでなく、近年賃貸市場では「借り手優位」の状況が強まっており、賃料の低下や入居後一定期間は賃料をゼロにするフリーレントが広がっている状況です。まさにオーナー様受難の時代を迎えており、かつ、この環境条件悪化は長期トレンドとして冷静に捉えておく必要があります。

[ribbon]賃貸経営の基礎指標としての「入居稼働率」[/ribbon]

入居稼働率の算出基準

賃貸経営の重要な指標となる『入居稼動率』ですがいったいどのように計算されているかご存知ですか?
普通にイメージすると、稼働率=(365日-年間合計空室日数)÷365日 となります。もし貸室を10室持っているのならば、稼働率=(365日×10室-10室分の年間合計空室日数)÷(365日×10室) となるわけです。つまり1年間のうち当該物件の総入居日数(賃料発生日数)を365日で割ることにより算出するものです。
しかし、実際の入居率はこのように単純な計算式では算出されていません。各社独自の解釈で入居率を計算しているのです。つまり、入居率という見た目は同じでも、意味が異なっているということです。
例えば、空室の定義ですが『1ヶ月間空室が続いた部屋』と定義していたり、『内装工事が終わって即入居できる部屋』との定義もあります。
また基準日を設け実は1年で最も高かった入居率を表示している場合もあります。さらにサブリースの場合、家賃をベースにして入居率の算定をしているところがあります。『空室物件の借上げ家賃支払額』を『実際の家賃総額』で割って空室率を算出し、結果として高めの入居率を出すといったものです。
賃貸経営の重要な目安となる『入居率』は、見た目の数値に惑わされず、どのような計算方法で入居率を算出しているのか、いつの時点の入居率を表示しているのかを、しっかりと確かめることが大切です。

[ribbon]戸数ベース、面積ベース、金額ベース[/ribbon]

入居稼働率に惑わされず経営実態をしっかり把握することが重要

 
このように空室の定義や基準日の違いはあれ、入居稼働率とは戸数ベースでの稼働率を計算しますが、実際の賃貸経営では、面積ベース又は金額ベースの稼働率の方が経営実態を表す数値となります。
以下で簡単にシミュレーションしてみます。
■稼働率指標
(1)面積ベース
貸付面積÷総面積
(2)戸数ベース
空戸数÷総戸数
(3)金額ベース
空室賃料÷総賃料

これで出てくる数字は、それぞれの空室率です。
【ケースA:1棟マンション】
区画数:8区画
5F 1室 (賃貸マンション・ペントハウス) 10万/月
4F 2室 (賃貸マンション×2) 5万×2部屋/月
3F 2室 (賃貸マンション×2) 5万×2部屋/月
2F 2室 (賃貸マンション×2) 5万×2部屋/月
1F 1室 (店舗・コンビニ) 60万/月

【入居稼働率100パーセントの状態】
満室 家賃収入 100万/月
【1Fのコンビニのみが入ってないとき】
部屋数でみた空室率は7/8で80%を超えていますが、家賃収入で見たときは40万/100万で40%となります。
【2F~4Fの1室のみが入っていないとき】
部屋数でみると、空室率は1Fがいないときと同じですが、家賃収入で見たときは95万/100万で95%になります。

入居稼動率に惑わされず、経営実態をしっかり把握することが大事という考え方は理解していただけたでしょうか?

[ribbon]賃貸管理会社選びの際のチェックポイント![/ribbon]

目次


第1回 「管理会社の評価スキームとチェックポイント」
第2回 「98%って本当!?管理会社で異なる入居稼働率の算出基準のカラクリとは」
第3回 「インスペクションは賃貸市場にも波及!?修繕履歴と物件価値」
第4回 「儲かってますか!?物件単位の決算評価を行っているオーナーは1%」