国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」Q&A[2]

国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」Q&A[2] 2013-01-10T16:17:55+00:00

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原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)Q&A

  • Q7:不注意で壁のクロスの一部にクロスの張替えが必要なほどのキズをつけてしまいました。 部屋全部のクロス張替費用を負担しなければならないのでしょうか。

    A:不注意でキズをつけてしまったものは修理をしなければなりませんが、各部位ごとの経過年数を考慮したうえ、最低限可能な施工単位(毀損させた箇所を含む一面分の張替えまではやむをえない場合がある)で修理するのが妥当と考えられます。

    不注意により、壁クロスに張替えが必要なほどのキズをつけてしまったのですから、その損害について賃借人に賠償責任が生じることになりますが、このとき、どのような範囲でクロスの張替え義務があるかが問題となります。本ガイドラインでは、その範囲について、㎡単位が望ましいとしつつ、あわせて、やむをえない場合は毀損箇所を含む一面分の張替え費用を、毀損等を発生させた賃借人の負担とすることが妥当と考えられるとしています。これは、賃貸人が原状回復以上の利益を得ることなく、他方で賃借人が建物価値の減少を復旧する場合にバランスがとれるように検討されたものです。

  • Q8:賃貸借契約書に特に約定されていないのですが、退去にあたり、大家さんから、襖や障子、畳表を張替えるようにいわれています。襖や障子、畳表は退去時に必ず賃借人が張替えなければいけないのでしょうか。

    A:襖や障子、畳表の損耗が経年変化や通常使用によるものだけであれば、賃借人の負担で張替える必要はないと考えられます。しかし、賃借人が毀損した場合には、賃借人の負担で張替えることになります。

    襖や障子、畳表を賃借人が毀損した場合には、賃借人の負担で毀損した枚数を張替えることになります。しかし、襖や障子、畳表の損耗が経年変化や通常使用によるものだけであれば、賃借人の負担で張替える必要はありません(賃貸借契約期間が長期に及び、その間に一度も賃貸人によって襖や障子の交換、畳表の張替えが行われていない場合には、通常使用でも相当の損耗が発生するので、賃借人の負担で張替えなければならない毀損なのかどうかは、大家さんとの間で協議してみてはいかがでしょうか)。なお、賃貸借契約書に特約がある場合は、Q3やQ5を参考にしてください。

  • Q9:賃借人は、敷金の返還をいつでも請求することができるのですか。

    A:敷金の返還請求は、契約で特に別の時期を定めていない場合には、建物の明け渡しを行った後でなければできないとされています。

    敷金は、賃貸借契約終了後明け渡しまでの損害金まで担保するものであるため、賃借人の敷金返還請求権は、賃貸借契約の終了時に発生するのではありません。賃貸借契約に特に時期についての定めがない限り、建物を明け渡してはじめて賃借人は敷金返還を賃貸人に対して請求することができます(最高裁判所判決昭 49・9・2)

  • Q10:賃借人の善管注意義務とはどういうことですか。

    A:賃借人は、賃借人として社会通念上要求される程度の注意を払って賃借物を使用する義務が課されており、これを賃借人の善管注意義務といいます。

    賃借人は、賃借物を善良な管理者としての注意を払って使用する義務を負っています(民法400条)。建物の賃借の場合には、建物の賃借人として社会通念上要求される程度の注意を払って賃借物を使用しなければならず、日頃の通常の清掃や退去時の清掃を行うことに気をつける必要があります。賃借人が不注意等によって賃借物に対して通常の使用をした場合よりも大きな損耗・損傷等を生じさせた場合は、賃借人は善管注意義務に違反して損害を発生させたことになります。例えば、通常の掃除を怠ったことによって、特別の清掃をしなければ除去できないカビ等の汚損を生じさせた場合も、賃借人は善管注意義務に違反して損害を発生させたことになると考えられます。また、飲み物をこぼしたままにする、あるいは結露を放置するなどにより物件にシミ等を発生させた場合も、賃借人は善管注意義務に違反して損害を発生させたことになると考えられます。なお、物件や設備が壊れたりして修繕が必要となった場合は、賃貸人に修繕する義務がありますが、賃借人はそのような場合には、賃貸人に通知する必要があるとされており、通知を怠って物件等に被害が生じた場合(例えば水道からの水漏れを賃貸人に知らせなかったため、階下の部屋にまで水漏れが拡大したような場合)には、損害賠償を求められる可能性もあるため、そのことにも注意が必要です。契約時に交付すると思われる「入居のしおり」等には、賃借人の適正な住まい方に関するわかりやすい解説等が掲載されていますので、是非ご確認ください。

  • Q11:アパートの大家さんが変わりました。敷金は新しい大家さんから返してもらえるのでしょうか。

    A:そのアパートを新しい大家さんが前の大家さんから購入していた場合は、敷金は新しい大家さんから返してもらいます。そのアパートの抵当権が実行され、新しい大家さんが競売によってそのアパートを競落した場合には、あなたが賃貸借契約を締結してアパートの引渡を受けた時よりも前に登記された抵当権の競売の場合には前の大家さんから敷金を返してもらい、あなたが賃貸借契約を締結してアパートの引渡を受けてから登記された抵当権の競売の場合には新しい大家さんから敷金を返してもらいます。

    賃貸人が賃借建物を第三者に売却して当該第三者が新賃貸人になる場合には、敷金返還義務は当然に新たな賃貸人に継承されます(最高裁判所判決昭44・7・17)。他方、既に抵当権設定登記がなされた建物について、平成16年4月1日以降に賃貸借契約を締結して引渡を受けていた場合で、抵当権の実行によって競落人が新たに当該建物の所有者になった場合には、競落人である新たな所有者は賃貸借契約を承継する義務はないので、競落人は敷金返還義務を負いません。したがって、この場合には、賃借人は、従来の賃貸人である元の建物所有者に対して敷金の返還を求めることになります。これに対し、賃貸借契約を締結して引渡しを受けた後に設定登記がなされた抵当権の実行によって競落人が新たに当該建物の所有者になった場合には、競落人である新たな所有者は賃貸借契約を承継するので、新たな賃貸人である新所有者に対して敷金の返還を求めることになります。

  • Q12:明け渡し後の修繕費用の負担金額について、大家さんと話合いがつかず、敷金の返還がなされていません。少額訴訟制度が使えると聞きましたが、どのような制度でしょうか。

    A:民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争の解決を図る手続きです。

    紛争が当事者間の話合いによって解決しない場合には、最終的には裁判によって決着を図ることになります。このような場合に、60万円以下の金銭の支払を求める訴えであれば、少額訴訟制度を利用することができます。少額訴訟制度は、相手方の住所を管轄する簡易裁判所に訴えを提起するものです。原則として1回の審理で判決が言い渡され、少ない費用(申立手数料は訴額60万円の場合で6000円)と短い時間で解決を図ることができます。なお、即時解決を目指す制度であるため、書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。

  • 目次

    三方よし!不動産会社のための原状回復管理

    1. 三方よし!不動産会社のための原状回復管理
    2. 原状回復を「経営マネジメント」する
    3. 原状回復管理をサポートするPropetyMaster
    4. 原状回復管理システムの主な機能
    5. 原状回復をめぐるQ&A、国交省ガイドライン等

      5.1 国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」の概要
      5.2 国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト
      5.3 国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」契約書に添付する原状回復の条件に関する様式
      5.4 国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」原状回復の精算明細等に関する様式
      5.5 国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」Q&A[1]
      5.6 国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」Q&A[2]
      5.7 国交省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」Q&A[3]